ラムしゃぶ

ラムしゃぶは北海道民のソウルフードなのか?

  • コラム

秘密のケンミンショー『ラムしゃぶ』放送の件

前回投稿しました、
しゃぶしゃぶもラム肉?北海道民のソウルフード『ラムしゃぶ』
の続きになります。

先日の『秘密のケンミンショー』では、北海道民にとってしゃぶしゃぶと言えば『ラムしゃぶ』が当然、という感じの放送内容でしたが、この内容についてネット上では、『北海道民だけど、ラムしゃぶ食べたことがない』とか、『ラムしゃぶを食べる道民は極一部では?』というよう意見も割と多くあげられました。

ふむふむ、同じ道民の中でもそういう意見もあるのか…面白いかも…

ラムしゃぶは北海道民のソウルフードなのか?

まず、私の個人的な意見としては、
『ラムしゃぶは北海道民のソウルフード』と考えています。

前回もお伝えしましたが、北海道のスーパーでは一般的に、ラムしゃぶ用冷凍スライスのラム肉が普通に売っていますしね。
このことから、ラムしゃぶがソウルフードかどうか、ラムしゃぶを食べる・食べないというその差は『地域差』ではないような気がします。

私は上記のような『北海道民だけど、ラムしゃぶ食べたことがない』『ラムしゃぶを食べる道民は極一部では?』という意見は、『世代間の差(年齢差)』から生まれるのではないかと考えています。

若い世代の人たちはラムしゃぶを食べない?

私は『ラムしゃぶを食べたことがない道民は、30代前半位までの若い世代の人達に多いのでは?』と考えています。

確か、豚しゃぶが出てきたのは恐らく25年位前のような気が…

その前はラムしゃぶが当たり前で、25年位前からスーパーや飲食店等でも販売されるようになり、その後、豚しゃぶの方がメジャーに販売されるようになったような気がするのです。

ということから、今の20代・30代前半位までの人たちにとっては、すでにラムしゃぶよりも豚しゃぶの方がメジャーだった可能性があり、そのためラムしゃぶを食べたことがないという人たちは、この若い世代の人たちに多いのでは?と考えるのです。

確かにラムしゃぶは、一度お湯・出汁にくぐらせて食べるため、さっぱりして食べやすく臭みも少ないと言われますが、全く臭みが無いというわけではありません。灰汁も多くでるのでその処理はちょっと面倒…。
さらに、ラムしゃぶを自宅でする場合、その後の部屋の匂いはやはり気にはなりますからね。

これらの点から、豚しゃぶが登場して以来、今までラムしゃぶを当たり前に食べていた家庭でも豚しゃぶを食べるようになり、ラムしゃぶから豚しゃぶへのメジャー化が進み、その結果、ラムしゃぶを知らない世代も誕生したのでは?と考えるのです。

豚しゃぶ用の豚肉がスーパーには無かった…?

少なくとも私たちのような、社会に出る直前にバブル崩壊を経験した世代は、しゃぶしゃぶと言えば『ラムしゃぶ』と言う世代だと思います。
もちろん北海道の縁故者が前提になりますが、学生の頃は宅飲みをかねて友人たちと一緒に鍋を囲み『しゃぶしゃぶ』とやっていました。もちろん『ラムしゃぶ』で。

記憶を辿ると、『牛しゃぶ』はもちろんあったのですが、なにせ学生だっためお金もなく、必然的に牛肉よりもリーズナブルでいっぱい食べれる『ラムしゃぶ』を食べていたような気がします。と同時に『豚しゃぶ』用の豚肉がスーパーではそれほど売っていなかったような気がします。全く無かったというわけではありませんが、ラムしゃぶと比較すると、圧倒的に少なかったような気がします。

『無菌豚(厳密にはSPF豚のこと)』の登場

その後、『無菌豚』と呼ばれる豚肉が知られ、スーパーでも普通に販売されるようになってから『豚しゃぶ』が普及したのでは?

という、自分の記憶をたどりながら、少し調べてみました。

当時は『無菌豚』と呼ばれていたような気がしますが、厳密には『SPF豚(ポーク)』のこと。
無菌状態で出産・飼育されているため『無菌豚』と呼ばれていた時期もありましたが、肉そのものは『無菌』ではないようです。
出始めの頃は、無菌だから『しゃぶしゃぶ』と少し生で食べても大丈夫…という感じで食べていたような気がします。(思いっきり騙されていました…)

SPF豚は、昭和38年から開発研究がスタートし、昭和50年代後半になるとSPF豚の有利性が徐々に理解されはじめ、その後『無菌豚』SPF豚農場認定制度が平成5年に発足し、現在に至っているようです。

つまり、平成5年=1993年以降、SPF豚はスーパーでも普通に販売されるようになり普及し始め、それに合わせて、25年位前のこの頃から『豚しゃぶ』が普及し始めたと考えると、やはり、今の20代・30代前半位までの人たちにとっては、すでにラムしゃぶよりも豚しゃぶの方がメジャーであり、そのためこの若い世代の中には『ラムしゃぶ』を食べたことがないという人もいるのではないでしょうか。

また全国的には、さらにこの後、2000年代の初頭に発生したBSE問題(2001年9月千葉県で日本初のBSE症例など)により、『牛しゃぶ』から『豚しゃぶ』への人気が拡大しました。

[参照サイト・ページ]
豚肉ランド:http://www.pork-land.com/bra-spf/
SPF豚の歴史:http://www.j-spf.com/system/history.htm
Excite Bit コネタ: http://www.excite.co.jp/News/bit/E1278572939932.html

ソウルフードは受け継がれるもの

上記の若い世代の人達にも、ラムしゃぶを食べたことがあるという人はいると思います。あとは、各家庭や世代の異なる人々、友人達から『ラムしゃぶ』が受け継がれているかどうかですね。

現在は、北海道民であっても、ラムしゃぶ一辺倒ということは少ないような気がします。牛しゃぶ、豚しゃぶ、ラムしゃぶを、それぞれ合わせながら食べることが多いと思います。

そのような中でもラムしゃぶをぜひ食べて、周りの人達、特に北海道民には引き継いでいって欲しいものです。

補足事項(道民の嗜好とジンギスカンの歴史)

様々な料理において北海道では、牛肉よりも豚肉を多用する傾向があり、消費量は全国平均よりも少なく、消費量ランキングでも低位置に属する都道府県の一つです。

『すき焼き』や『肉じゃが』も牛肉ではなく、あえて豚肉を使う(むしろそれを好む)場合もありますし、また、焼き肉でも『ホルモン』と言えば『豚ホルモン』を指すことが多く、牛の場合は『牛ホルモン』とあえてあたまに『牛』を付けることが多いです。

また、しゃぶしゃぶは1952年(昭和27年)に、当時、大阪ですき焼きとビフテキで全国に名をとどろかせていた『スエヒロ』が『牛肉の鍋料理』をしゃぶしゃぶと命名したことが始まりとされ、その起源は中国北京の『シュワンヤンロウ』という羊肉でしゃぶしゃぶをする火鍋料理が起源のようです。

つまり、大阪スエヒロが、羊肉を牛肉に代えて『しゃぶしゃぶ』という名称で提供したことが始まりのようです。

一方、北海道では1918年頃から、軍服用として羊毛を生産するために羊を道内で飼育し始め、それに乗じて、手に入りやすい羊を有効活用することで、北海道版羊肉料理が誕生したようです。戦前の1931年に文献に初登場、1936年に札幌でジンギスカン鍋料理試食会があったことから、このあと普及していったようです。

この2点をまとめると、大阪スエヒロがしゃぶしゃぶを提供しはじめた1952年には、北海道ではすでにジンギスカンがある程度普及していたことが考えられ、牛肉嗜好が薄く当時から牛肉よりも羊肉が手に入りやすかった北海道では、むしろ原点回帰するような形で、羊肉のしゃぶしゃぶがメジャーになったのではないかと考えられます。

[参照サイト・ページ]
永楽町スエヒロ本店:http://www.e-suehiro.com/syabu60th/
北海道ファンマガジン:https://pucchi.net/hokkaido/jingisukan/jingisukanhistory.php
wiki〜しゃぶしゃぶ:https://ja.wikipedia.org/wiki/しゃぶしゃぶ

注意事項

ラムしゃぶはあっさりで美味しいとは思いますが、ラムの匂いが全く無いわけではありません。
それと灰汁(アク)も多く出ます。
最後に『ラムしゃぶ』の締めはラーメンになりますので、ご注意くださいm(__)m

コメント

  • 1915年:北村で羊肉会が催される
    1918年:農商務省が東京女子師範学校(今のお茶の水女子大学)に用肉料理を考案するよう委託
    1920年:北村で羊肉会が催される
    1921年:旭川第七師団へ羊肉販売。岩見沢高等女学校(今の岩見沢西高)で羊肉会が催される
    1924年:北村の畜産組合がレシピ本を発行

  • コメントありがとうございます。
    ということは、もっと古くからジンギスカン(羊肉)が食されていたということですね。北村とジンギスカンについて調べてみると、それに関する資料も残っているんですね。
    勉強になりました。ありがとうございました。

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